ディスクのフライト・パターン

前回の話でディスクは用途によって大きく3グループに分かれることが判りました。今回はディスクのフライト・パターンの話をしたいと思います。専門用語がいくつか出てくるので、最初に解説しておきますね。便宜上、右利きの人がバックハンド・スローで投げることを前提に言葉の定義がなされています。左利きの人がバックハンド・スローで投げる場合や、右利きの人がサイドアーム・スローで投げる時は右と左が逆になることがあります。その場合には「左(*右)」といった様に赤文字と星印で示してありますので適時読み替えてください。

バックハンド・スロー (Backhand throw): 右手(*左手)を体の左側(*右側)にもっていき、テニスのバックハンド・スイングの要領で投げること。一番よく見られる投げ方で、体全体を使って投げられるので距離が稼げることが利点です。詳しい解説は「ディスクの投げ方」でやります。

サイドアーム・スロー (Sidearm throw): 右手(*左手)を体の右側(*左側)に開き、野球のサイドスローの要領で投げること。手首のスナップを利かせやすいので、回転が綺麗にかかり易いのが利点です。距離を稼げるようになるにはコツが必要だったり、肘を痛めてしまう人がいたりするのが難点です。詳しい解説は「サイドアーム・スロー」でやります。

ターン (Turn): 高回転・高速飛行中のディスクが右(*左)に曲がってしまうこと。

フェード (Fade): 低回転でスピードの落ちてきたディスクが左(*右)に曲がりながら落ちていくこと。

グライド (Glide): ディスクの特性で、飛行高度を一定に保つ能力のこと。用例:「グライドのいいディスク」等。


      あ〜、も〜、覚えきれねぇ〜


・・・と叫んでしまった貴方、言葉の定義はこの辺で置いといて、本題に移ることにしましょう。


〜ディスク・レイティング〜
ディスク・メーカーの大御所であるINNOVAのディスクのページに行くと、様々なディスクの名前が表になって並んでいますね。で、とりあえずディスクの名前をクリックしてみると、そのディスクのページに飛ぶんですが、当然のことながら説明は全部英語で書いてあるわけで。いちいち和訳して読むのはめんどくさいですが、そんなことしなくても簡単にディスクの特性が解る方法があるんです。それが、通称ディスク・レイティングと呼ばれる物です。

例として、表の一番上の真ん中にいるDestroyerをクリックしてみましょう。ディスクの写真の右隣に4個の数字が並んでますね。実は、この数字を見るだけで、だいたいディスクのフライト・パターンが解ってしまうんです。左上の緑の箱の中の「スピード」はディスクの速さを表していますが、実際には「どれだけ風を切って突き進めるか」という風に解釈してもいいかと思います。INNOVAのディスクはスピード1から12まで設定されています。このディスクの場合、スピードが12なんで、非常に快調に風の中を突き抜けて遠くまで飛んでいくことができます。

次に右上のオレンジの箱の「グライド」ですが、上で軽く触れたように、グライドがあるディスク程、浮力があるので、滞空時間が長くなり、結果として遠くに飛びます。だいたいは3から6の間に落ち着きます。このディスクの場合はグライドが4なんで、ドライバーの中では標準的な値です。これが、ミッドレンジのディスクになってくると、ほとんどが5とか6になってきます。グライドが高いと、ディスクに強い回転を掛けなくてもある程度は浮力が得られるので、力いっぱい投げずにコントロールで勝負するミッドレンジにはこういうディスクが多いんですね。

左下の青の箱に書いてあるのが「ターン」です。「ターン」という言葉の定義では、「高回転・高速飛行中に右に曲がる」ということなんですが、INNOVAのサイトの数字は「どれだけターンせずに耐えるか」というのを表しています。ですから、0だと右に曲がりづらく、マイナスの数字だと曲がり易いということになります。実は、この数字と後述の「フェード」がディスクの飛び方を予測する上で非常に重要になってきます。詳しい話は「ディスクの選び方」「ディスクの投げ方」の時に詳しく説明します。

最後になってしまいましたが、ターンと同じく重要なのが右下の黄色の箱の中の「フェード」です。この値は「ディスクの回転が落ちてきた時にどれだけ左に切れながら落ちていくか」ということを表しています。ドライバーの場合、1から5ぐらいまで様々な数字が並んでいますが、数字が大きければ大きいほど、飛行の最後の方で左側にどんどん切れて行きます。この例の場合は4なので、結構最後は左にずれた位置に着地するだろうと予測できるわけです。コントロール重視のミッドレンジやアプローチになると、あまり曲がってもらうと困ってしまうんで、もうほとんどのディスクのフェードは1以下です。パターになってくると、やはり0ですね。

〜フライト・パターン〜
かなり大雑把な説明ではありましたが、これで個々の数字の意味は大体解るようになりましたよね。では一体この4個の数字をどういう風に組み合わせれば、フライト・パターンが予測できるのでしょうか。キーワードは「ターン」と「フェード」です。では、例として右のフライト・レイテリングを使って予測してみましょう。まず、手から離れた瞬間のディスクは一番回転がかかっており、速度も出ていますから、「高回転・高速飛行中」の行動を表すのターンの値を参照します。この例の場合は「−3」ですから、右に切れ易いディスクであることが解りますね。すなわち、手から離れた瞬間のディスクは、右の方に曲がりながら飛んでいくということが予測できます。

ある程度飛行を続けたディスクは、空気抵抗を受けて速度が落ちていきます。同時に、最初は強くかかっていた回転もどんどん遅くなっていきます。・・・ということは、どの値を見ればいいのでしょうか?解りましたね。そうです、「低回転・低速飛行中」の動きを表す「フェード」の値を見れば、後半のディスクの飛び方が想像できるわけです。この例の場合、フェードの値が「1」ですから、あまり左に切れることもなく、気持ち程度戻ってくるぐらいかなとと予測できますね。さらに、ターンが「−3」でフェードが「1」で、ふたつの数字を足すと「−2」ですから、真っ直ぐよりも右側の位置に着地しそうだということも想像できますね。

では、「グライド」どこに絡んでくるのでしょうか?グライドは浮力を得るための能力を表す値ですが、高回転の時よりも低回転の時にその差が如実に出てきます。グライドが高い方が回転が低くても落下しにくくなりますから、結果的に遠くまで飛ばせます。すなわち、グライドのあるディスクの方が最後の伸びが得られるということになります。しかし、それはフェードしてる時間も長くなることになりますから、フェードの値が高いディスクの場合にはさらに左に切れることにもなります。この例の場合、グライドが「5」でフェードが「1」 ですから、最後の部分でゆるやかな左カーブを描きながら伸びていくとくことになります。

これで大体のフライト・パターンは頭に描くことができるようになりましたが、「スピード」についてはまったく考慮に入れていませんね。実は、このスピード程あてにならないものはないんです。上で、スピードのあるディスク程「風を切って突き進める」と書きましたが、これには但し書きが付いています。それは、「回転がしっかりかかっている」ということです。同じ力(推進力)でディスクを投げた場合、回転が多くかかっている方がディスクは遠くまで飛ぶことができます。回転がしっかり掛かっているいる間はフェードして落ちていかないからですね。スピードは、この回転が掛かってる状態で、どれだけ空気抵抗を減らせるかという目安になるわけです。逆に言えば、回転が弱ければスピードはあまり当てにならないともいえます。理論上はスピードの高いディスクは遠くまで飛びますが、これにはかなり個人差が出てくることになります。詳しい話は「ディスクの選び方」「ディスクの投げ方」でまた解説します。

ここで、上の全部をまとめてみましょう。まず、このディスクは右にぐぐ〜っと切れて行きます。そして、途中からゆるやかな左カーブに変わって伸びていくわけですね。着地点は正面より少し右よりです。飛距離は個人差があるのでここでは無視しましょう。頭に大体のディスクの軌跡が描けましたか?では正解を見てみましょう。実はこれ、Sidewinderというディスクのレイティングだったんですが、このディスクのページの下の方にフライト・パターンの図がありますよね。貴方が頭に描いていた図と似てますか?このフライト・パターン、あくまでも目安であって、このとおりに飛ぶわけではありません。理論上の完璧で真っ直ぐな投げ方をした場合に、こういう軌跡で飛ぶように作ってあるというだけのものですから、過信しないように気をつけてください。「ディスクの投げ方」では、どうやってこのフライト・パターンに変化をつけるか、なぜパターンどおりに飛ばないのか、ということを詳しく掘り下げていきます。

さて、これでINNOVAのように細かいディスク・レイティングやフライト・パターンの図を提供してくれるメーカーのページに行けばそのディスクがどういう軌跡を描いて飛んでいくのかだいたい解るようになりましたね。でも、もうひとつの大御所メーカーであるDiscraftにはそんなものはありません。あるのはレイティングと呼ばれる数字が1個だけです。ではどうやってディスクの軌跡を予測すればいいのでしょうか?それを次回の「INNOVA以外のディスク」でその方法を解説することにしましょう。

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