初心者によくありがちな間違い

アメリカに留学したての人や、英語を習い始めの人達によく見られる初歩的なミスをいくつか挙げてみましょう。英語を話せない日本人の大半はこのミスが正しいものだと勘違いしてるせいで、英語がなかなか伸びないのです。さて、貴方はどのくらい勘違いしてましたか?

@巻き舌を使えば英語っぽく聞こえる
A抑揚を付けて話せば英語っぽくなる
B単語の暗記は英語上達の基本
C正しい文法を使わないと話が通じない
D日本語の会話でも英単語を多用すると英語を覚えるのに役立つ
E日本人同士でも英語で話せば上達が早い
F日本語を使う機会を減らすと上達が早くなる
G外人の恋人を作れば英語の上達が早い
H長年海外在住すれば英語なんて勝手に身に付く
Iスラングを多用すれば会話がはずむ

さてさて、普通の人なら5〜6個は身に覚えがあるのではないでしょうか?「なんでこれが間違いなの?」という疑問を持った方もたくさんいることでしょう。これらの逆が必ずしも正しいわけではないので、それぞれの勘違いについて軽く説明しておくことにしましょう。

@巻き舌
おそらくこれが勘違い確立ナンバー・ワンでしょうね。英語の音で「舌を巻く」のは「R」の音だけです。これ以外の音を出す時に舌を巻いてしまうと、全然別の音になってしまうわけです。なんでもかんでも舌を巻いてるせいで相手に理解してもらえず、ムキになってさらに舌を巻きまくってる人達をよくみかけます。もちろん、巻けば巻くほど相手には通じなくなるわけで。訳も解らず闇雲に舌を巻くよりは、カタカナ英語を話した方がアメリカ人には理解しやすい英語になるでしょう。正しい「R」の音の出し方は、「最後の難関、RとL」の所で詳しく説明しますから、それまではカタカナ英語で話すようにしましょう。

A抑揚(アクセント)
@の巻き舌に続いてよくある間違いは、自己流アクセントによる失敗です。ご存知のとおり、英語は音よりもアクセントが重要となってくる言語です。だからこそ、アクセントの付け方次第で意思疎通の効率がかなり変わってくるわけです。しかし日本語の場合には、音さえちゃんと出していればなんとか意思疎通は可能ですよね。それが故に、「日本語にはほとんど抑揚が無い」と子供の頃から教え込まされて、頭から信じきっている日本人のほとんどは、「抑揚をつけないと英語にならない」という迷信を植えつけられています。そこで、英語を話す時には勝手に抑揚を付けて、「英語っぽく」聞こえるように話そうと、変な努力をしてしまいます。実はこれ、致命的な間違いです。元々アクセントがおかしい所へ、さらに訳の解らない抑揚を勝手に付け加えるもんですから、さらに意味不明になってしまうわけです。正しい抑揚の付け方が解ってないうちは、カタカナ英語を話すようしましょう。中途半端な抑揚を付けるより圧倒的にスムーズな会話が可能になります。「関西弁を真似しようとする東京人」や「見よう見真似の博多弁を話す大阪人」を見たことがありますか?自己流アクセントで話す人の英語は、こんな「勘違い野郎」の32倍ぐらい恥ずかしいものなのです。詳しい話は「アクセント(訛り)」の所で解説しますから、楽しみにしていてください。

B単語の暗記
これはエリート大学を卒業した人や名門高校を出て留学してきた人によく見られる勘違いです。何が困るかというと、英単語を日本語で暗記しているということです。試しに、以下に挙げる単語(熟語)を日本語訳してみてください。「must」、「have to」、「have got to」、「ought to」、「should」、「had better」、「might want to」、「need to」、「be supposed to」。大抵の人は、「〜しなければならない」とか、「〜した方がいい」というような訳を思いついたのではないでしょうか?実は、上に挙げた数々の熟語群、ひとつひとつまったく違ったニュアンスを持っているのです。いくら単語や熟語を暗記していても、ニュアンスを理解していないと会話が成り立ちません。この辺りの詳しい所は、日本語を英訳しちゃダメという話で掘り下げていきましょう。

C正しい文法
完璧主義の日本人は、ともすると間違えることを恥と思ってしまいがちです。そこで、教科書に載っている「正しい英語」を使って会話をしようとムキになってしまうわけです。ところが、実際の会話においては「正しい文法」が使われていることは意外に少ないのです。例えば、「これが欲しいですか?」という文章を訳する場合、英語の試験では「Do you want this?」と書くと正解ですよね。英会話の場合、先述の文章がもちろん正解なのですが、「You want this?」でもなんの問題も無く会話が成り立ちます。他にも、「行くのですか?」と問いかける時に「Going?」と聞いたり、「全然知りません」という時に「I don't know nothing」と言ってみたり。英語の試験の模範解答ではありえないような文章がまかり通っています。よっぽどしっちゃかめっちゃかな文章で無い限り、細かい文法は気にせずに会話を続けた方がいいでしょう。完璧な文章を1文だけ作るよりは、8割ぐらい正しい文章を10回ぐらい話した方が、英語の伸びはよくなります。

D日本語会話での英単語
本人はいいと思ってやってるんでしょうが、傍から見てると見てるとかなりかっこ悪いです。かっこ悪いだけならまだいいんですが、実害もあるからさらにタチが悪いです。Bで挙げた単語の暗記と同じで、日本語の言葉を英単語で置き換えるというのは、言葉の持つニュアンスを殺してしまいます。日本語の中に英単語を混ぜれば混ぜるほど、その単語に間違ったニュアンスを関連付けてしまいます。ですから、実際に英語で会話をしている時に、とんちんかんな受け答えをしてしまう元になるわけです。英語は英語として、感覚で覚えることにしましょう。

E日本人同士でも英語
おそらくこれが一番実害が大きいでしょうね。日本人同士だと、独特の訛りも作れない音も似ていますから、「まったく他人には理解不能な英語」でも意思疎通がある程度可能になってしまうのです。すると、自分の間違いに気が付かないばかりか、間違った発音やアクセントを身に付けてしまうことになる訳です。中途半端に通じるもんですから、調子に乗って会話の量も増えます。結果として、「おかしい英語」に触れる時間が、「正しい英語」を学ぶ時間より圧倒的に多くなってしまい、どんどんと悪い方向に進んでいってしまうわけです。日本人同士で会話をする時は、きちんとした日本語で会話するようにしましょう。

G外人の恋人
「外人の恋人 イコール 英語の上達」という式は必ずしも正しくはありません。貴方なら恋人に何を求めますか?一番重要なのは「理解し合う」ことですよね?そのためには、会話が成り立つということが必要条件になります。英語があまり話せなくて満足な会話もできない貴方と恋人同士になりたいという人のほとんどは、「日本やアジアに興味がある」人達ばかりなのです。こういった類の人達は、「アジア人の英語に慣れている」か、「会話が続かなくても辛抱強く我慢してつきあってくれる」わけです。また、貴方に遠慮して、間違った発音やアクセントで話していても注意してくれません。「正しい英語を聞く機会を増やす」という意味ではプラスですが、自分で意識して自分の間違いを正すようにしないと、いつまでたっても英語が上達しないという逆効果もあるわけです。実際、アメリカ人と結婚して20年以上もアメリカに住んでいるのに、ひどい英語しか話せない日本人はたくさんいます。確かに、「意思疎通」という意味では問題なさそうですが、「うまい英語、きれいな英語を話す」という観点から見ると問題がありますよね。

H長期海外在留
Gで軽く触れたように、長い間アメリカにいるからといって英語がうまくなるかというと、けしてそんなことはありません。自分で意識して、努力して、間違いを正していかないと、絶対に英語はうまくなりません。仮に、東京人が大阪に20年住むだけでは関西弁はマスターできません。本人が意識して、訛りを真似して、正しいイントネーションで関西弁を話す努力をしないと、同じ日本語なのに話せないわけですよ。これが全く違う言語である英語を話すわけですから、さらに真剣な努力を重ねないと英語はマスターできないでしょう。

Iスラング
これもよくある勘違いですね。スラングを使えばいいものだと思って、正しい使い方や本当の意味もよく解っていないままにスラングを連発する人をよく見かけます。スラングは特定の場合にのみ力を発するものですから、適当でない会話で使うと、とんちんかんな受け答えになってしまうわけです。とんちんかんなだけならまだ本人が恥をかくだけで済みますが、全然別の意味になってしまって、思わぬところで誤解を招いてしまうこともしばしば見受けられます。英語で英語を聞いて、英語で理解して、英語で文章を組み立てて会話ができるようになるまでは、スラングは使わないようにした方がいいでしょう。

さてさて、前置きはもうこの辺でおしまいにすることにして、次回は「アクセント(訛り)」についてちょっと掘り下げた話をすることにしましょう。

inserted by FC2 system