アクセント(訛り)

前回の話で意外と英語上達に関する迷信が多いことが判ってもらえたでしょうか。勘違いを正すことだけでも英語上達の道への大きな一歩を踏み出すことになります。今回は訛りに対する間違った認識に焦点を絞って、「正しい英語」とはいったいどんなものであるかということを理解していくことにしましょう。外国語である英語の話の前に、まず母国語である日本語で考えて見ましょう。「正しい日本語」っていったいどんな言語ですか?こう聞かれたらどう答えますか?9割方の人は、「標準語」と答えるでしょうね。では、標準語以外の方言は「間違った日本語」なのでしょうか?こんな問いに対しては、ほとんどの人が、「いいえ」と答えるでしょう。なぜなら、「標準語」で話す日本人はテレビのニュース・キャスターぐらいだからなわけです。関東人が多用する「じゃん」、関西弁独特のイントネーション、九州弁に独特な「たい」や「と」という語尾変化、東北人の濁点が混ざってしまう癖、どれもこれも「正しい日本語」にはありませんね。でも、会話は成り立ちますし、意思疎通に問題のあることはそう多くはありません。では、英語の場合はどうなんでしょうか?

〜英語の方言〜
英語圏の国々を見ていると、大きく分けて2種類の方言があります。イギリス英語とアメリカ英語です。このふたつは、発音の仕方からアクセントの付け方、さらには単語の使い方まで、まるで違う言語であるかのように大きく違ってきます。イギリス英語をさらに細かく分けていくと、イングランド訛り、ウェールズ訛り、スコットランド訛り等の代表的なものの他、いくつかの違った方言があります。オーストラリアの英語はどちらかというとイギリス英語に独特の訛りがついたもの分類されるでしょう。アフリカの元イギリス植民地であった国々は、イギリス英語にそれぞれの国独特の訛りが混ざっています。インドでは公用語が10種類以上あり、英語が一番重要な公用語になっていますが、イギリス英語ともアメリカ英語ともまったくかけ離れたものになっています。アメリカ英語系は、カナダ英語にジャマイカ英語など、発音や単語の使い方が結構違ってくる方言があります。アメリカ国内でさえ、大きく分けて北部と南部。その他にニューヨーク、ボストン、シカゴ、フィラデルフィア、カリフォルニア、シアトル、中西部、等々、様々な訛りがあります。もちろん、黒人訛りの英語や、カンボジアやベトナム訛りの英語も存在します。

英語を母国語として話す人達の英語の他に、フランス訛りの英語、イタリア、ドイツ、スペイン、スイス、ノルウェー、ギリシャ、メキシコ、中国、韓国、その他諸々、数え上げるとキリがないぐらい訛りの数はあります。もちろん、日本語訛りの英語も存在します。それぞれの訛りに癖はありますが、間違った英語ではないのです。では、何故「正しい英語」を話そうと努力するのでしょうか?それは、マイナーな訛りの英語を使うと、理解してもらえない場合が多々あるからです。テレビが普及してからは、全国各地の話題や芸能人の話す様子を簡単に見聞きすることが可能になりましたよね。テレビでよく聞く方言の大半は標準語か関東弁か関西弁です。九州弁や東北弁はめったにでてきません。触れる機会が少ないが故に、訛りに慣れていません。すると、同じ言語なのに、何を言っているのか聞き取れないということが起こってしまうわけです。日本語訛りの英語も同様で、間違っているのではなく、人々が慣れていないから意思疎通に支障があるわけです。そんな問題を解決するために、多数の人々が慣れている「代表的な英語」に近くなるように努力するわけです。

〜代表的な英語を話すには〜
まず聞くことです。漠然と聞き流すのではなく、どんな音を出しているか、どんな抑揚を付けて話しているか、ということを、耳を澄ましてじっくりと聞き取る努力をしましょう。そして、その音と抑揚を真似するようにしましょう。赤ん坊の頃に日本語を学んだ時のように、言語習得の第一歩は「聞いて真似する」ことにあります。聞き込む英語は、ひとつの方言に絞った方がややこしくなくていいでしょう。東北弁と九州弁、関東弁に関西弁といったように、違った訛りを変わりばんこに聞いていても混乱してしまうのがオチです。K-40は中西部で英語を学んだがために、中西部訛りの英語を話します。中西部にいた頃はまったく気付かなかったのですが、南部に引っ越してからは、南部の訛りが自分の慣れている英語とかなり違うことに気付きました。同時に、いろんな人から「きみって中西部から来たの?」と聞かれることが多くなりました。中西部では軽く日本語訛りの入った英語という風に認識していた訛りが、南部に来ると中西部訛りの英語になってしまうわけです。K-40は大阪出身なので、京都や神戸、和歌山に奈良といった、関西圏内の微妙な訛りの違いにも敏感です。でも、関西で育っていない人達にとってみれば、どの地方の方言も「関西弁」に聞こえてしまうわけです。これと同じ原理で、K-40の英語は「中西部訛り」と認識されてしまうわけです。どこの地方の訛りでも結構ですが、しっかり聞き込んでマネをすれば、ちゃんとした英語が話せるようになりますから、頑張って練習することにしましょう。

〜周りに代表的な英語を話す人がいない場合は?〜
次回の「音楽を活用しよう」で解説しますが、英語の歌を使って練習しましょう。もちろん、英語圏の人が作った歌を英語圏の歌手が歌っている歌を使わなければ意味はありません。それでは、なぜ音楽を使うといいのか詳しくみていくことにしましょう。

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