軽い物は沈む

神が実験している部屋に、とある試薬を取りにいった時、
なんの前触れも無く側に寄って来ていきなりぼやき始めた神。

神:どう考えても簡単なはずなの反応が、全然進まない。
K:どうやって仕込んでやったの?
神:アルゴンで置換して、風船に水素を詰めて針で刺しといたから完璧のはずなんだ!

K-40:いや〜、それは進まなくて当然でしょ〜

神:何を訳の解らないことをほざいてるんだ?

K:まず、水素の濃度が低過ぎだね。

神:そんなことは有り得ない。風船はフラスコの大きさよりでかい。

K:液体と気体じゃ体積が千倍以上も違うんだよ。それじゃ全然足りないよ。

神:そんなことは有り得ない。俺の計算は完璧だ。

K:それに、普通だったら圧力掛けて水素の濃度をあげてやるんだよ。
    10〜20倍の水素をぶち込んでやっと進む反応なんだから、風船一個で大気圧じゃ厳しいでしょう。

神:風船が圧力を掛けるからそこは問題ない。

K:アルゴンって水素の20倍の重さだよ。
    ビーカーとかの広い口ならともかく、細い針越しに水素が重いアルゴンの中に落ちていけないよ。

神: うるさい!お前の理屈は滅茶苦茶だ!黙れ!

K:あっそ。じゃ、頑張ってね

神ののたまう所を牛乳と風船で置き換えて説明すると、

風船の口に注射針をつけ、牛乳瓶のキャップ越しに差し込んでやると、
空気が細い針の中をつたって牛乳瓶の中に入り、
逆に牛乳が針の中を上って風船を牛乳で膨らませてくれるらしい。

う〜む、さすが神

都合の悪い時には空気は動かず、

都合の良い時には軽い物が沈んでくれる

神の前には自然界の法則も真っ青

inserted by FC2 system