ワインの基礎知識

ワイン屋さんに行くと、それこそ何百種類というボトルが並んでいますよね。数が多いだけでも逃げ出したくなってしまいそうなのに、左の写真のように同じようなラベルの癖にボトルの色が緑色だったり透明だったりする奴がいたりするわけですよ。いったい何が違うのかいまいちよく解りませんよね。・・・ってか、まったくわけが解りませんよね。店員さんに聞いてみようにも、なんか変な質問をしてしまって後で笑いの種にされるも嫌ですよね。あるいは、店員さんに「それでしたら、@#$%^&*はいかがでしょうか?」等と意味不明な外国語で言われても、対応に困ってしまいます。そんな状況を想像しただけでも、冷や汗が滝のように流れてきませんか?そんな時に困ってしまうことのないように、たくさん種類のあるワインのラベルの読み方をここで紹介します。普通のワイン系列のサイトに行くと、必ずと言っていいほどフランス・ワインのラベルの読み方から入りますよね。実はこれ、初心者にはお奨めしません。フランス抜きでワインは語れませんが、フランス・ワインは初心者には取っ付き難いんです。まずは新世界(New World)と呼ばれる国々、特にアメリカ、そしてオーストラリア、ニュージーランド、チリ、南アフリカなどから入って、ワインの世界に慣れ、それからフランス・ワインに入っていくことを、K-40は個人的にお奨めします。

〜よっつのVとバラエティ・ラベルの読み方〜
まずは右を見てください。このラベルは、新世界(通天閣のあるところじゃありませんよ)のワインによく見られる、バラエティ・ラベル(種類表記ラベル)の一例です。紫の楕円で囲んであるのは、ワインを選ぶ上で重要になる「4V」と呼ばれるもので、たいていのバラエティ・ラベルには明記してあります。この「4V」とは、「Variety」、「Vineyard Location」、「Vintage」、「Vintner」で、それぞれ、「ブドウの種類」、「葡萄畑の場所」、「年」、「ワイン製造者」を表しています。このラベルの例でいうと、このワインは「Cabernet Sauvignon」というブドウ(Variety)を使って、「Napa Valley」という場所(Vineyard Location)にある「Franciscan」というワイナリー(製造者)で2004年(Vintage)に作られたということが解ります。

・・・などと言われてもさっぱり訳が判りませんよね(笑)

では、このよっつのVがいったいどんな意味を持つのかということを、順を追って解説していくことにしましょう。

〜Variety(ブドウの種類)〜
ワインは日本語で葡萄酒というぐらいですから、ブドウジュースを醗酵することによって作られています。この、ブドウジュースの元となるブドウの種類によって、ワインの味が全然違うものになってしまうのです。別の例に喩えてみると、「肉」と言ってもいろんな種類の肉があるのと同じです。よく見かける肉だけでも、牛肉、豚肉、鶏肉、鴨肉、等々。それぞれ全く違う味がしますよね。ですから、ワインを買いに行く時には、「Merlotが欲しい」とか、「Chardnnayが飲みたい」といったように、ブドウの種類で選んで買うようにするわけです。ここで、左の写真を見てください。一瞬見ただけでは上の写真と全然変わりませんよね。では、間違い探しをしてみましょう(笑)。ブドウの種類が「Cabernet Sauvignon」ではなく「Merlot」となっていることに気付いた貴方は正解です。上のワインとの唯一の違いは、元になるブドウの種類が異なるということだけなのです。ぱっと見には大したこと無いようですが、赤ワインが白ワインになってしまうこともありますから、選ぶ時には重要になります。では、ブドウの種類はどれぐらいあるのでしょうか?実は、赤ワインの元になるブドウだけでも数十種類あります。ですが、心配はいりません。肉と同じで、普段よく目にするブドウの種類は限られています。「Big 6」と呼ばれる6種類(正確には7種類)のブドウを押さえておけば、たいていのことには困りません。この「Big 6」については、次回の「ブドウの種類」の話でもう少し詳しく説明しますので、ご心配なく。

〜Vineyard Location(葡萄畑の場所)〜
ブドウは植物ですから、土壌の性質や気候によって、同じ種類のブドウでも微妙に味が変わってきます。解り易い例に喩えてみると、同じコシヒカリという米でも、産地によっておいしさが違いますよね。地域によっては、土地が米の栽培に適していないということも多々あります。ブドウも同様で、土地よってそれぞれに適した品種があるわけです。一般的には、涼しい気候の地域ではブドウは熟しにくく、ワインはライト・ボディになりがちです。暖かい気候の地域はブドウは完熟しやすく、フル・ボディなワインができあがります。「ボディって何じゃらほい?」と思った貴方、ご心配なく。次回の「ブドウの種類」の話の時にちゃんと解説します。「なんで葡萄畑の所在地が重要なわけ?」と思った貴方、右の写真をみてみましょう。ラベルが微妙に違いますね。左側はSonoma、右側はNapaで作られたワインであるわけです。左のVintageが2004で右が2005であることに気付いたあなたはさらに目聡い人ですね。製造された年ももちろん重要なんですが、葡萄畑の場所による違いの方が大きいです。興味のある方は飲み比べてみましょう。

〜Vintage(年)とVintner(製造者)〜
繰り返すようですが、ブドウは植物ですから、気候の影響をまともにうけます。ですから、気候が悪かった年のブドウを使って作られたワインは、あまり味の方もぱっとしないわけです。そういう意味では、ボトルのラベルに書いてある年の情報もないがしろにはできませんね。しかし、それだけではないのです。最近のワインのほとんどは、作られて1〜2年以内に飲むことを前提に作られています。「ワインは何年か寝かせておくとおいしくなる」という話は、まず当てはまらないと考えていいでしょう。逆に言えば、古くなったワインは味が変わってしまっている可能性が十分にあるということです。ワインに慣れてくるまでは、2年以上前に作られたワインは避けるようにした方がいいでしょう。
最近は、技術が発達したお陰で、気候に多少のばらつきが出ても、年毎のワインの味には大幅な影響が出ないようになってきています。これは、消費者側にとってみれば非常に嬉しいことです。個々の製造年はあまり気にせず、ワイナリーとブドウの種類だけでワインを選ぶことができますからね。そうなんです。ブドウの種類が限られてますから、同じ種類のブドウを使って、複数(というより多数)のワイナリーがそれぞれのワインを造っているわけですよ。左の写真のCabは、製造者以外のVは全部、一番上の写真のCabと同じですね。ワイナリーの人の腕次第でワインはうまくもまずくもなります。酸味や香りのバランスも変わってきます。また、ワイナリーによって、得意なブドウや、あまりぱっとしないブドウがあったりもするわけです。前述したように、最近は年毎のばらつきが少なくなってきているので、ワインを買う時は、「このワイナリーのこのブドウ」といった感じで買いに行くと、間違いが少なくてよいでしょう。

〜バラエティ・ラベル以外のラベル〜
これでバラエティ・ラベルから必要な情報を得ることはできるようになりましたね。では、フランスなどのような元祖(Old World)ワイン国は、どんなラベルを使っているのでしょうか?元祖ワイン国ではバラエティ(種類表記)ではなく、リージョン(産地表記)・ラベルを使用しています。それぞれの産地によって、作られているブドウがある程度限られいますから、産地とブドウの関係が頭に入っていれば、どのブドウが使われているかは大体察しが付きます。でも、ラベルを見た瞬間にどこのワインか解る玄人ならともかく、初心者には産地の名前を覚えるだけでも大変ですよね。イタリア、スペイン等の国がこのリージョン・ラベルを採用していますが、各国のワイン法によって、表記の仕方が全然変わってきます。これが理由で「ワインは難しい」というイメージが固定してしまったんですね。リージョン・ラベルについては、ワインの産地紹介の時に一緒にラベルの読み方も解説します。
これらのラベルの他に、ブランド・ラベルというのもあります。これは、種類表記でも産地表記でもなく、独自のブランド・ネームだけが表記されているラベルです。このタイプのラベルになると、ラベルだけではどのブドウが使われているか全く解りませんから、ワインをこれから始めようという人には非常に不便ですよね。また、この手のワインは非常に高級か、異常なまでに安い、というのがパターンですから、最初は避けて通っても損はしないでしょう。

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