ワインの選び方

前回までの話で、ブドウの種類でワインを選ぶことが重要だということは解りました。では、ワインに慣れるためにはどのブドウから入ったらよいのでしょうか?ちょっと悩んでしまいますよね。ほとんどの人は、「赤ワインは苦手だけど、白ワインなら飲めるかも」という感じじゃないでしょうか?そんなワイン入門者の方々のために、K-40が誰にでも親しみやすいワインを選んでみました。このセレクション、自分がワインに慣れるために使ってももちろんいいのですが、貴方の友達をワインの世界に引き込むのにも使えることも間違いありません。なぜ言い切ってしまうかと言うと、過去にこの手で何人もの友人をワインの世界に引きずりこんで・・・、もとい、・・・お誘いしてワイン愛好家になっていただいているからです。あなたも、K-40のワイン・セレクションで、素晴らしきワインの世界への入り口の扉を開けることにしましょう。

〜甘い白ワインなら飲めそうという人のためのワイン・セレクション〜
食事に行って赤ワインが出てきたけど、何がおいしいのかまったく解らなかった人。甘いカクテルは飲めるけど、ビールや日本酒は苦手な人。そんな貴方はこのカテゴリーに当てはまります。赤ワインはブドウ・ジュースに皮を漬してエキスを抽出しますから、味が複雑になり、その組み合わせとバランスがワイン愛好家にとってはたまらないものなのですが、酸味やタニンも自然と高くなってしまいます。これが、「赤ワインは渋い」と思われがちな理由です。この複雑な赤ワインの味を楽しむには、味覚を発達させるしかありません。子供の頃はワサビ入りの寿司を食べるのが大変でしたよね、ガリも辛くて食べると涙が出ましたよね。今はどうですか?喜んでワサビもガリも食べますよね。これが、味覚の発達というものなのです。

〜まずは甘く飲みやすい白ワインから始めましょう〜
それでは、甘いワインから順番に入って味覚を育てていくことにしましょう。まずはGewurztraminerというブドウからできている白ワインを飲んでみましょう。どのワイナリーのでもいいのですが、特別に甘いものとしてお奨めなのは、FetzerのGewurztraminer(右上)です。お値段も手頃で、年毎の味の差が少ないので、コンスタントに甘くてライチ系のワインを提供してくれます。これに慣れてきたら、次はRieslingを飲んでみましょう。たまにドライなのもありますが、ドイツのRieslingは基本的に甘いものが多いです。よく見かけるのは、シュワルツ・カッツ、マドンナ、辺りでしょうか。ラベルに「Kabinett」と書いてあるのは普通のRiesling。「Spatlese」で結構甘くなり、「Auslese」になると極端に甘くなります。アメリカはカリフォルニア州、Kendall−JacksonのRiesling(左)なども甘くて飲みやすい一本です。Rieslingに慣れてきたら、Gewurztraminerと飲み比べてみましょう。まずRieslingを飲み、次にGewurztraminerを飲んでみてください。Rieslingの方が酸味が強く、フルーツ系の味が強いことが解りますね。

〜次はフルーツ系の白ワインに慣れましょう〜
Rieslingの次はSauvignon Blancです。個人的には、Robert MondaviのSauvignon Blanc(*注:Fume Blancではありません)や、チリ産のCasillero del Diablo(右)等がお奨めです。最近はニュージーランドのSauvignon Blancも伸びてきているので、KonradのSauvignon Blanc(左)等を試してみるのもいいでしょう。どうですか?Riesling等に比べて甘さは少なくなりましたが、フルーツ系の酸味が増してきましたよね。シトラス系や南国系の果実のような心地よい甘酸っぱさがなんともいえませんよね。こうしてSauvignon Blancのフルーツ系のワインに慣れてきたら、今度はもっとドライなPinot Grigioへと駒を進めましょう。

Pinot Grigioほどハズレの少ないブドウも珍しく、どこのワイナリーのPinot Grigioでも比較的おいしく楽しめます。そんな甲乙付け難いなかでK-40のお奨めは、やはりRobert MondaviのPrivate Selection(左)ですね。カリフォルニアにあるこのワイナリー、白ワインは全般的に質が高く、お値段も良心的なので、ワイン入門者にとっては重宝するワイナリーと言えるでしょう。
何気に話が脇道に反れてしまいましたが、Pinot GrigioはSauvignon Blancよりもドライで、ピーチ系や洋ナシ系の酸っぱさが特徴的です。渋い赤ワインが苦手な人にも、甘ったるい白ワインが苦手な人にもウケのいい、万国共通安全牌的なワインと言えるでしょう。Pinot Grigioに慣れてきたら、これまでに飲んだことのあるワインを飲み比べてみましょう。順番としては、ドライなPinot Grigio、Sauvignon Blanc、Riesling、そしてGewurztraminerという風に行くと、違いがよく解ります。

〜さらに、フルの白ワインかライトな赤ワイン〜
さて、次はどんなワインが待ち受けているのでしょうか?実は、ここで選択肢がいくつかに分かれるところなのです。@フル・ボディのオークが少ないChardnnayを飲む。Aオークの味と香りが充満した白ワインを飲んでみる。Bいよいよ以って赤ワインへと駒を進める。では、それぞれのパターンに従って続きを見ていくことにしましょう。

@オークっぽくないChardを飲む:Sauvignon BlancやPinot Grigioよりさらにフルーツ系の自己主張が目立ちます。それに加えて、Chard独特のバター臭さが一種独特のこってりとした舌触りを醸し出すことでしょう。個人的にお奨めなのは、南アフリカのLost Horisons(左)やカリフォルニアのソノマにあるGallo of Sonoma(右)の一本ですね。こんなChardに慣れた後は、AのオークっぽいChardを飲んでみるか、Bの赤ワインに挑戦してみましょう。

AオークっぽいChardを飲む:Sauvignon Blancの話の時にちらっと出てきた「Fume Blanc」ですが、オークの色合いが濃い白ワインです。個人的にはRobert MondaviのFume Blancがお奨めなので、是非試してみてください。他には、 Beringer(Napa)のChardや、先程から何度も出てくるRobert MondaviのPrivate SelectionのChard等が、オーキーな白ワインの味を知る上ではちょうどいいでしょう。こいつらを飲んでみて、「オーキーなのは苦手だなぁ」と思った人は、ここを飛ばしてBの赤ワインに挑戦した方が賢明といえるでしょう。

B赤ワインに挑戦してみる:ある程度白ワインに慣れてきたなら、ライト・ボディな赤ワインを飲んでみるべきです。赤ワインが苦手な他人でもあまり抵抗無く飲めそうな、GamayやPinot Noirあたりから始めるのがよいでしょう。Beaujolais-VillagesのGamay(右)は、ストロベリー系の甘さが際立っている赤ワインで、白ワインの甘さに慣れている人でも、「お、甘い」と気付いてしまう一本です。ACACIAのPinot Noirはチェリー系の甘酸っぱさに、なんとなく微炭酸のような感じのする舌先への刺激が特徴の赤ワインです。さらっとした後味が、赤ワインが苦手な人にもウケがいいです。
この他には、MacMurrayやChaloneなどがいいかも知れませんね。EchelonのPinot Noirも、ブラックチェリー系にかすかに混ざったプラムのような味わいがあってよろしいのですが、タニンが強いので、飲んだ後に口の中がガサガサになってしまう感があります。で、最後になっちゃいましたが、もう一本紹介しておきます。ちょっとお値段が張りますが、Leaping LizardのPinot Noir(右)は、プラム系のいい香りに、チェリー系の甘酸っぱさ、口当たりは滑らかで、飲んだ後の軽く甘い余韻がまたなんともいえません。文句なしにうまいワインなので、懐に余裕のある方には是非試してみていただきたい一本です。

〜ライトな赤ワインからミッド・ボディへ移る準備〜
さてさて、これでライト・ボディな赤ワインも飲めるようになってきましたね。それでは、本格的に赤ワインへと駒を進めることにしましょう。ライト・ボディでチェリー系の甘酸っぱいPinot Noirは、飲みやすい赤ワインとしてはとてもいいのですが、いかんせん栽培に手間がかかるためにお値段が張りがちです。そこで、あまり懐のダメージは厳しくないけれども、さらっと入る赤ワインをふたつ程紹介しましょう。まずはスペインの代表的なワインである、Tempranilloというブドウを試して見ましょう。Pinot Noirよりも酸味やタニンがきつくなってきますが、チェリーやストロベリーの甘酸っぱい感じは似ていますよね。あまり無理なく飲めることだと思います。次に紹介するのは、CensioのChianti(左)です。イタリア・ワインの代表的なブドウであるSangioveseを使って作られているChiantiは、さらっとした舌触りの、チェリー及びラズベリー系にちょろっとストロベリーといった感じの、甘酸っぱい味が特徴です。赤ワインに慣れていくにはちょうどよい複雑さのワインといえるのではないでしょうか。

〜いよいよミッド・ボディな赤に挑戦〜
ミッドの赤になってくると選択肢が一気に広がります。フルーツ系のMerlotにドライなCabernet Sauvignon等々。まずはMerlotから入るのが順当でしょう。最近伸びつつあるRex GliathというワイナリーのMerlot(右)は、非常に良心的なお値段でありながら、いかにもMerlotといった素晴らしい仕上がりになっています。Rex Gliathは、Merlotの他にも、Cabernet SauvignonやPinot Noirなども作っているのですが、どれも非常にいい出来具合なので、ワイン入門者の方々には重宝するワイナリーとなるでしょう。少し話が横にそれてしまいましたが、この他にK-40が個人的にお奨めなのは、FranciscanのMerlot(左)とCabernet Sauvignonです。「ワインの基礎知識」の所でも例に出しましたが、ここのMerlotとCabernet Sauvignonは非常によく出来ていて、それぞれのブドウを代表するような味になっています。ちょっとお値段が張るのが珠にキズですが、余裕があるのであれば、両方とも手に入れてみて飲み比べてみれば、MerlotとCabernet Sauvignonの違いがよく解るようになります。

〜ここまできたら〜
もうどの赤でも普通に楽しめるようになっているはずですから、いろいろと試して見ましょう。ブラック・ベリー系のフル・ボディのZinfandelにスパイシーなShiraz等、様々な種類のブドウを飲んでみて、自分の好みを探してみましょう。大体自分の好きな味が解ってきたら、ワイン屋さんで店員さんと話をして、お奨めのワインを出してもらいましょう。試飲会などに参加していろんなワインを少しずつ試してみるのもいいですね。これで貴方もワイン愛好家ですね。さ、どんどん新しい仲間を増やしていきましょう。

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