料理に合ったワインの選び方

〜「赤と肉、白と魚」は迷信〜
ワインと料理を組み合わせる時によく勘違いされてるは、「肉料理には赤ワインで、魚料理には白ワイン」という「常識」みたいな呪文です。実は、牛肉のステーキに赤ワインが合い、さっぱりした魚料理に白ワインが合うのには理由があるのです。この、「何故この料理にはこのワインが合うのか」という理屈が解るようにようになると、赤とか白とかにこだわらずに料理に合ったワインが選べるようになるのです。逆に、肉料理に合わない赤ワインや、魚料理ににはおすすめできない白ワインなどもあるわけです。では、その「合わせ方の理屈をちょっと解説することにしましょう。」

〜料理とワインの合わせ方の基本〜
牛肉のステーキには何を付けて食べますか?コショウをかけて食べる人、スパイスの利いたステーキ・ソースをかけて食べる人、はたまた、和風に大根おろし系のソースをかける人、人それぞれですよね。でも、基本は一緒なんです。「ピリッとしたスパイス」が利いてると、牛肉等の肉々しい味によくマッチするわけなんですよ。では、魚料理の場合はどうですか?レモンやライム、柚子などをかけて食べると魚の味がひときわ引き立ちますよね。これは、柑橘系の酸味によって唾液がたくさん出てくるために、微妙な魚の味が表に出てくるようになるからなんです。これでピンと来た人はワインと料理を組み合わせる素質がありますね。料理に合ったワインを選ぶコツは、「その料理にどんなものをかけてやるとうまくなるか」ということを念頭においてワインを選ぶことなのです。ですから、スパイスを利かせたい牛肉系には、Cabernet SauvignonやZinfandelのようなスパイシーな赤ワイン、デリケートな魚料理には、酸味の利いたSauvignon BlancやドライなPinot Grigio等が合うわけです。

それではここでワインと料理を組み合わせる時のコツをいくつか挙げてみることにしましょう。

@色に惑わされてはいけない。
赤肉だから赤ワイン、白身の魚だから白ワイン、などという間違った迷信に惑わされてはいけません。色よりはボディを合わせることによって、料理の味が引き立つようになるのです。牛肉のような味の濃い肉料理には、フルボディでスパイシーな赤ワインで攻めるのが一番なわけですが、ライト・ボディな白ワインではワインの味が負けてしまってせっかくのワインが楽しめなくなってしまうわけですね。逆に、カリフォルニア系のアルコール度数が高くてバター臭くオークの利いたChardnnayなどなら牛肉料理にも問題なく太刀打ちできてしまうわけです。繊細な魚料理の場合、リッチな赤ワインだと魚の味が感じられなくなってしまうので、ライト・ボディな白ワインでバランスを取ってやると、ワインと料理の両方の味が引き立つようになります。

A味の強さを合わせてやる
上の項目とダブってしまうかもしれませんが、ボディの強さを合わせてやると、ワインの味と料理の味のバランスを取ることができます。魚に限らず、繊細で薄めの味付けの料理にはライト・ボディ名白ワインがよく合います。ガーリックの利いた肉料理や、肉々しい血の味のする牛肉系料理などは、料理自体の味に負けないようなフル・ボディのスパイシーな赤ワインがよく合います。また、リッチで濃い味付けの料理であれば、魚料理でもMerlotなどの赤ワインが合ってしまうこともしばしばあるわけです。

B足りない物を補い合うような組み合わせを考える。
肉々しい料理にスパイスを足してやることによって味が引き立つのは上で何回も述べましたが、牛肉にZinfandelやCabernet Sauvignonが合うのは肉に足りないスパイシーさを足すことができるからです。この原理を応用してやると、東南アジア系の非常に香辛料の利いた辛い料理には、Riesling等の甘めの白ワインが合いそうだということが想像付きますよね。また、クリーミーなソースやバターの利いた油っこい料理の場合には、Sauvignon BlancやPinot Grigioなどの酸味が利いてドライな白ワインが合うわけです。

C産地と料理を合わせる
料理とワインは切っても切れない関係にありますから、それぞれの産地で作られたワインには、その土地で発達した料理が合うとこが多いわけです。例を挙げてみると、白身の肉料理やちょっと濃い目の味付けの海鮮料理が多いスペイン料理だと、ちょっとライト・ボディでさらっとしたRiojaなどのTempranillo系のワインがよくマッチします。同様に、トマトソース系のイメージが強いイタリア料理などの場合は、ChiantiなどのSangiovese系のワインが面白いぐらいによく合います。

Dさっぱりとこってりの組み合わせ
クリーミーなソースやハーブやガーリックの利いた料理など、複雑な味のする料理にはさっぱりとしたワインが合います。「肉だぞ」といった感じの味付けの濃くないステーキなどには、複雑な味がからまったフル・ボディの赤、薄めの味付けの魚料理等には、リッチなChardnnayなどが合います。味付けとワインのバランスに注意して、両者が喧嘩しないようにワインを組み合わせるようにしましょう。

Eスパークリング・ワインはオールマイティ
スパークリング・ワインは炭酸が効いてるが故に、どんな料理でも問題なくマッチします。どんなワインを合わせたらいいのか解らない時には、スパークリング・ワインで逃げるという裏技も可能ですね。ただ、「どんな料理にも合う」ということは、「それがベストの組み合わせではない」ということを意味することがしばしばあります。代表的な料理の場合には、なるべくその料理に合ったワインを選ぶという努力は怠らないようにしましょう。

F掟破りの赤ワインと魚料理
「魚料理を食べたいけど、ワインはどうしても赤じゃないと嫌だ」という赤ワイン派の貴方のために、K-40がちょっとしたヒントを。強い赤ワインだと魚の味が薄れてしまってよろしくありませんね。でも、酸味があると魚の味は引き立ちますよね。そこで、酸味の利いた、タニンの少ない赤ワインを選ぶことにしましょう。ライト・ボディでチェリー系のなPinot Noirや、Chianti (Sangiovese)やRioja (Tempranillo)などのマイルドな赤ワインもよろしいでしょう。また、グリルで料理されて軽く焦げ目の付いた、鮭やカジキなどの味の強い魚料理などには軽めのMerlotなどを合わせることも可能です。

G掟破りの白ワインとウシ
「牛肉料理なんだけど、赤ワインは苦手」という白ワイン派の貴方は、上でちょっと触れたように、カリフォルニア系の高アルコール度数でバター系の味が濃くオーク風味の効いたChardnnayを選んでみましょう。CabやZinなどの赤ワインほどではありませんが、Chardnnayの複雑な味が牛肉とマッチしてくれます。

H困った時のチーズ頼み
チーズに含まれる脂肪分がワインの味を引き立たせてくれるので、安いワインでもおいしく感じられるようになります。大抵はどんなチーズとワインを組み合わせてもいいのですが、カマンベールやブリーなどのクリーミーなチーズの場合にはドライなRieslingなどと組み合わせてやった方が無難でしょう。

Iワイン・キラー
世の中には「ワイン・キラー」と呼ばれる食べ物がいくつかあります。特殊なワインで無い限りたちうちできず、普通のワインの味を間違いなく殺してしまう、ワイン・テイスターにとっては悪夢のような食べ物達のことです。その代表はまず、チョコレート、それから、アスパラガス、ピーナッツ、チリ・ペッパー等で、ワイン会の時にはこれらの食べ物は出さないように気をつけましょう。また、フルーツなどもワインの味とかち合ってしまうしまうためにお奨めしません。後、どんな食べ物にも当てはまるものですが、ミントは避けましょう。ミントがあるとワインの味がまったく解らなくなってしまいます。ワイン会直前に歯磨きをしてしまった人は、何かを食べて歯磨き粉のミントの余韻がなくなるまで待ってからワインを飲むようにしましょう。

〜素材別にみるワインとの組み合わせ方〜
牛:ステーキ等にはCabernet Sauvignon。特にコショウの効いたステーキには、ZinfandelやShirazなどのスパイシーな赤がよく合います。、ロースト・ビーフはPinot NoirやMerlotなどのマイルドな赤がいいでしょう。ハンバーグ等はたいていの赤ならだいたい問題なく合います。
ブタ:大抵の白なら大体OKでしょう。イタリア(Sangiovese)やスペイン(Tempranillo)のマイルドな赤も合いますね。ハムには、赤派ならPinot Noir、白派ならGewurztraminerがいけるかと思います。
ニワトリ:Riesling辺りがちょうど合うと思います。グリルで焼かれたチキンならChardnnayが合いそうですね。ロースト・チキンならどんなワインでも大抵はOKでしょう。スパイスがよく効いてる場合は、ドライなRieslingかGewurztraminer辺りでしょうか。
鴨、アヒル、ガチョウ、七面鳥等:Pinot BlancやPinot Noir、あとはMerlot等が無難なところですね。一緒についてくるものによってワインのチョイスを変えてみてください。
ヒツジ:シンプルなラムであれば、Cabernet SauvignonやTempranilloなどのミッドからマイルドな赤。ガーリックのしっかりと効いたラムの場合、料理に負けてしまわないよう、Zinfandel辺りのスパイシーな赤にした方がいいでしょう。
シーフード:クリーム・ソース系でないのであれば、Sauvignon Blanc等のドライな白が合うでしょう。クリーム・ソース系の場合には、普通の白だと勝てないので、Chardnnay辺りに移行しましょう。甲殻類や貝類はスパークリング・ワインやドライな白辺りがよく合います。
パスタ:トマト・ソース系なら問答無用でChianti (Sangiovese)がよく合います。ホワイト・ソース系の場合には、Pinot Grigioなどのドライな白がちょうどいいでしょう。
野菜:味付けにもよりますが、一般的に豆系の料理は赤、緑黄色野菜系は白でいくと無難です。

〜一番重要なのは〜
自分が飲んでおいしいと思ったワインを選ぶことです。上の例に挙げられているからと言って、無理して嫌いな種類のワインを飲んだのでは本末転倒もいいところです。また、自分の好きなワインはあるけどそれに合う料理が見つからない時は、好きな物を食べればいいでしょう。食べてる間は水でも飲んでいて、食事が終わってから好きなワインを存分に堪能すればいいわけです。ワインと食べ物の組み合わせは、あくまでも「両者を引き立てる」ためのものであって、無理に組み合わせる必要はないのです。

さて、ここまでの話で、普通にワインを飲むのには困らない程度にはなっていただけたでしょうか。次回は、ワインを楽しむ時にあると便利な小物の話をしましょう。

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